御馳走が和尚さんを迎える

五月二十九日に豊川稲荷に行って来ました。
本堂完成祝い、永平寺福山諦法禅師在任十周年のお祝いがあったのです。
和尚さんは高校生の時、豊川稲荷で修行していたのです。昼は寺の小僧さん、夜は夜間高校で勉強をしながら、四年間の修行生活をしていたのです。
朝は早く、四時起きの毎日の生活です。眠くて眠くて、お経を読んでいる時に、コックリコックリしていたので、よく先輩に叱られました。
食事は精進料理(麦飯、味噌汁、漬け物、肉のないカレー、カボチャ、大根、野菜の料理)三度の食事だけしか食べることが出来ないので、腹がへって腹がへって、今では粗末な食べ物でもよく食べましたよ。麦飯も何杯もお代わりしましたよ。だから、入学した時は一番小さかったのが卒業するときは大きく生長していました。
豊川稲荷には、全国から商売繁盛、五穀豊穣、大漁満足等々の御祈願をされる参拝者が沢山こられます。その中には、会社の社長さんも来られて、宿泊して朝一番の御祈祷をされる方がおられます。
その時に出される豊川稲荷の特別精進料理のお膳は、スバラシイ御馳走で、和尚さんは小僧の時に横目で見ては、一度は食べたいなーーー何時になったら食べられるのか・・・と思ったものです。
それが、今回の祝賀会に行ったら、その特別精進料理の御馳走が出たのです。お膳の前に坐った和尚さんは、昔の小僧さんの時のことが思い出されました。目の前にある御馳走を見て感動しました。
お膳に乗っている一品一品の御馳走が和尚さんを待っていたように迎え入れて下さるように、こう云うのです。
『よくぞ、今日は来て下さいました。貴方様もやっとこの食事を頂くことのできる和尚さんになれましたね。どうぞ味わって食べて下さいね』と言われたように思い、目頭が熱くなりました。しばらく、じーっと見つめていました。
そして、「いただきます」と云って一番に豊川稲荷の名物の煮あぶらげを口の中へ一口入れました。口一杯に美味しいあぶらげの汁が広がり、心にしみ渡りました。ありがたい、嬉しい、感謝の気持ちがあふれてきました。そして、胸が一杯になっていました。こんな思いで食事が出来たことを不思議におもいました。
五十五年も前に、この豊川稲荷で修行していたご縁のおかげと、改めて感謝せずにはおれません。
一度、奥様にも話だけでなく、豊川稲荷の特別精進料理の御馳走を食べさせてやりたいと思っています。   合掌

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